9月17日の木曜日に更新した『【検証】やっぱりアドブロックでGA無効化は本当だった件【追記あり】』が、このブログでは初めてめちゃくちゃバズった記事になりました。公開後5日間の合計PVが、同記事だけで26,000を超え、FacebookとTwitter、はてなブックマークで合わせて2,700を超えるリアクションをいただいています。
このブログでは9月から毎日更新を始めていて、毎朝時間を作って記事を書いてきたところですが、当然ながらひと記事のアクセス数はまだまだ非常に低い状態。
いつも記事を公開すると、5日で50PV〜100PVほどが普通で、150PVいけばいいところ。通常の173%のアクセスとなった今回の出来事は、まぐれでも嬉しいです!
そこで、こんな機会はなかなかないということで、記事を公開してから一連のバイラル状態が収束するまでに、このブログに一体何が起きたのか?どんな参照元がどんな貢献をしてくれたのか?解析士らしくデータ面から色々と分析してみたいと思います。
目次
- 背景とデータのまとめ
- 公開後24時間で60PVだった記事が、次の24時間に10,000PVを超え、緩やかに落ち着くまでの一部始終
- 今回流入があった主な参照元の特徴分析
- 即時対応してよかったのこと
- まとめ
背景とデータのまとめ
無名ブログなのでヒットした記事についての説明からします。
ヒットしたのは前述の『【検証】やっぱりアドブロックでGA無効化は本当だった件【追記あり】』という記事で、記事執筆時点(9月24日)の各データは次のような感じです。
- 約27, 356PV
- 1,843いいね!
- 584ツイート
- 361ブックマーク
続いて、現時点までに次のようなブログが、同記事を引用して記事を書いてくださいました(把握できている範囲で)
- アップル社iOS9の広告ブロック機能で大混乱しているようです(えふしん) – 個人 – Yahoo!ニュース
- 【検証2】iOS 9の広告ブロックがGAを無効化!の件を、広告屋として調べてみた(+Optmizely)【150923更新】 – でぶててのWEB録
- ウェブ界隈で話題!「iOS 9」の「コンテンツブロッカー」問題とは | gori.me(ゴリミー)
- 全力でiOS9の広告ブロックについて個人的意見を言う! – 白ベルのカキカク
- iOS 9で広告ブロック!メディア運営者なら知っておきたい現状と対策 | 株式会社LIG
- ネタ充填中です。 | Yocatter総研
いつも読んでる超人気ブログにもソースとして引用していただきましたし、今回知った勉強になるブログさんもありました。ありがとうございます。
過去に僕が運営している別のウェブマガジンにて、Yahoo!ニュース掲載による大量流入を経験したことが2回ほどあり、PVだけでいうと今回は瞬発力ではそこを超えませんでしたが、今回のようにたくさんの方に引用していただいたりあちこちのソーシャルメディアでレスポンスをいただくことは初めてだったので、嬉しかったと同時に、バズってる3日間くらいずっとドキドキしてました。
では次に、こんなたくさんの閲覧とレスポンスがどのように生まれたのか?時系列で見ていきたいと思います。
公開後24時間で60PVだった記事が、次の24時間に10,000PVを超え、緩やかに落ち着くまでの一部始終
9月17日の午前10時に記事を更新し、流入が落ち着いてきた9月20日の午前5時にデータ分析を始めるまでの58時間のうちに起きたことを時系列にまとめていきます。
データをまとめる作業に非常に時間を要しましたが、我ながらこのドラマティックなグラフはなかなか面白いと思います(笑)
作ってよかった!
なお、ここでグラフにしたものの元データは、次のようなものです。
- 該当記事へ外部から直接流入した数(記事訪問数)の推移
- Googleアナリティクスのデータを利用
- 多い時で50種類を超える流入元があったため、中でも数の多い流入元だけをラベル付きで掲載
- FacebookはPCとモバイルを合算したり、Twitterは主要クライアントを合算したりってことを手作業で行った
- ラベルをつけなかった流入元は全て「その他」に含めた
公開〜公開後24時間の閲覧数推移
公開後24時間は、ご覧の通り全く動きがありませんでした。記事を書いた後に個人のFacebookでシェアしたので、そこからの流入がほんの少しあるくらいです。
この時は、そのさらに24時間後にえらいことになってるなんて、全然考えてもいませんでした。
本当に、コメントをしようがないほどの落ち着き具合。
公開後25時間〜公開後48時間の閲覧数推移
右肩上がりのワクワクするグラフです。細かく見てみましょう。
9月18日17時台 – 公開後32時間目
公開から32時間にあたる18日の17時台に、まずTwitterからの流入が急増し、その後19時台までの3時間伸び続けます。
またこの時、ノーリファラの流入が似たような伸び方をしました。これはおそらく、Twitterクライアントのスマートフォンアプリからの流入だったのではないかと思います。つまりどちらもTwitterからの流入だったはずでしょう。
9月18日19時台 – 公開後34時間目
次は公開後34時間にあたる19時台に初めて流入があった、はてなブックマーク。はてブがTwitterの少し後を追うようにして伸びはじめ、23時台まで緩やかにアクセスを増やしました。
以前京都で参加した勉強会にて、ウェブラーダーの松尾さん(@seokyoto)が「Twitterとはてブの愛称は良い」という話をされていたのが印象に残っていたのですが、今回まさにその言葉通りの伸び方となりました。
その時の松尾さんのお話を参考にすると、おそらくTwitterとはてブを連携しているユーザーがいて、そういう人にTwitterで見つけてもらえると、はてブも自然と伸びるという構造なのだと推測しています。
9月18日23時台 – 公開後38時間目
Twitterで最初に反応があった17時台から23時台までの6時間、Facebookからの伸びは非常に緩やかです。Facebookが爆発するのはまだまだ後の話。
9月19日0時台 – 公開後39時間目
そして、公開後35時間目の0時台になってFacebookとはてブ、Twitterからの流入が急増します。
この少し前くらいに記事がすごく読まれていることに気がついて、記事に【追記】を加えました。Twitter上で、「検証環境について知りたい」という声があったのでその対応です。
ちなみにその時、僕はFacebook上でこの記事について「いつの間にかめちゃくちゃシェアされてた(200いいね!越える)・・・。風邪ひいてるから云々とか、言わなければよかった恥ずかしいwww」って言ってます(笑)
9月19日1時台 – 公開後40時間目
この段階で初めてYahoo!ニュースからのアクセスを確認。Yahoo!ニュースと言ってもいろいろありますが、今回はBASEのCTO藤川 真一さん(@fshin2000)がYahoo!ニュース「個人」枠の記事中で引用してくださいました。
9月19日2時台 – 公開後41時間目
深夜の2時から朝4時にかけて、アクセスは落ちています。
それでもはてブからの流入は完全には落ちきらずに推移しました。
9月19日5時台 – 公開後44時間目
5時台にはてブとYahoo!ニュースが、6時台にはFacebookが再び跳ねます。朝型さん活動開始。
9月19日7時台 – 公開後46時間目
Yahoo!ニュースからの流入は、実は今回はそんなに大したことにならず、6時・7時台をピークにしてあとは緩やかに減っていきました。
Yahoo!からの流入が大したことなかったのは、Yahoo!をブラウザのホームに設定しているようなユーザーにウケる内容ではないためかなと推測しています。
9月19日8時台 – 公開後47時間目
5時台以降、急激に流入を伸ばしたはてブが、8時台に今回のピークを迎えます。
また、同タイミングでTwitterもやはりピークを迎えており、19日の8時台が今回の記事が最も閲覧された時間帯となりました。
1時間に1,600PVは、このブログにとって超凄い(だけど、そのPVを24時間 × ひと月続けてやっと115万PVってことは・・・人気ブログスーパーすげえ)
公開後49時間〜公開後58時間の閲覧数推移
まだまだお祭りは続きます。
9月19日11時台 – 公開後50時間目
9時台、記事公開後50時間目にして、Facebookがはてブを追い越して流入数トップに立ちます。
一度上がりきったFacebookはなかなか急に落ちることはなく、その後緩やかに、流入数トップを常に維持しながら下がっていきました。
9月19日16時台 – 公開後55時間目
記事を公開してから55時間目に、はじめてNewsPicsからの流入を観測します。
このグラフにはありませんが、時系列的にこれよりさらに後ろのほうでNewsPicsからの流入は細く長〜く残っていきました。
今回流入があった主な参照元の特徴分析
ここまでひととおり時間軸でデータを追ってみましたが、今回大きな流入をもたらしてくれた5つの参照元について、その特徴を分析します。
1. Twitter
最初にこの記事を発見して流入をもたらしてくれたのはTwitterでした。そんなTwitterの特徴を分析すると、次のような感じ。
- 検索してでも情報を見つけたい人がいる
- リスト作ったり、あの手この手で情報を収集したい人が多い
- はてブと一緒に使っている人もいて、きっかけになりやすい
- 拡散力のある人にリーチする努力がしやすい(コンテンツ制作者が)
- コメントが読めて面白い
今後の教訓として生かせそうなのは、やはりTwitterは自分で努力できる範囲で最善のディストリビューションツールだという事です。すべてのきっかけは、Twitterで弱小ブログのコンテンツを見つけてくれた3名のユーザーでした。
その3名から始まった流れを分析したので、推測を含みますが簡単にまとめると、
- まず、一連のiOS9のコンテンツブロックについて情報を収集していたAさんが、僕の【検証】記事を発見し、リツイート
- Aさん自身のフォロワーは750名程度だったが、AさんをフォローしていたBさん(フォロワー約4,000名)とCさん(フォロワー約2,000名)がAさんのリツイートをリツイート
- 特にBさんのフォロワーの中に多くの大物(アフィリエイトやSEO、解析系)が含まれていて、一気に拡散
こんな感じです。ものすごい拡散する記事も、遡ればたった3人のリツイートだったというところに、感動しました。
はてなブックマーク
Twitterで拡散された後に急劇に伸び、今回のバズの前半戦を支えてくれたはてなブックマーク。はてなブックマークの特徴はこんな感じ。
- ホッテントリに固定されると、暫くの間多くの人の目につくところに置かれる
- 新しい情報を探しているユーザーが沢山いるので、拡散されやすい(ブロガーや編集者を含む)
- 直接自分のブログにリンクされるので流入が増えやすい(これだけ人の目につくところに置かれるのに、関節的な紹介でなくて直接飛んでくるのが凄い)
- コメントが読めて面白い
Twitterだけでは時間の経過とともに流れてしまうコンテンツを、はてブユーザーが拾い上げて人の目につくところ(ホッテントリ)に一定期間留めておいてくれる。これがはてなブックマークのありがたいところで、他の大きな流入とは違うところだと感じました。
かつ、多くの「なにか新しい情報を探している人」をユーザーに抱えているのもはてなブックマークのユニークなところですね。
はてなブックマークからの流入が落ちついたあとに、丸1日以上にわたってたくさんの流入を生んでくれたのがFacebookでした。Facebookはこんな役割を担ってくれました。
- いいね!やシェアのハードルが低い
- ひとり・ふたりのパワーユーザーによるシェアだけでは大きく拡散されにくかったと思う
- はてブやYahoo!ニュースのように時間の経過とともに目につくところから外れないし、同じくTwitterのようにタイムラインで流れて行ってしまうこともないので、1度ある程度の人がシェアするところまで行くと、その後何度も何度も人の目に触れて長期的に多くの流入を生む。これは、例えば最初の拡散があったときにオンラインにいなかった人も、その人のタイミングでオンラインになったときにFacebook上に表示されるためだと推測している
いいね!やシェアのハードルが低いのが、コンテンツを作る人に取ってはFacebookのいいところじゃないかと思います。ただし、Facebookは一定の規模までシェアされないと流入に繋がりにくいようにも感じました。
おそらく、Facebookでリアクションしてくれる人は、はてブやTwitterと比べるとそこまで新しい情報を貪欲に求めていないのではと思います。だからなんにでもいいね!をするけれど、注意深く読み込んだりしない(ひょっとしたらタイトルだけ見ていいね!してる人もいそう)・・・根拠は全くありません。
一方で、一度拡散するとユーザーの目に触れやすく、Twitterやはてブの盛り上がり時に逃した人たちをじっくり刈り取って行ってくれる。そんな特徴がありました。
Yahoo!ニュース
今回はインパクトが少なかったYahoo!ニュースですが、次のようなメリットを感じました。
- 特に一般ウケする内容であれば、大量のアクセスを生む
- ソーシャルメディアで情報収集をしていない人にもリーチ出来る
今回はあんまり恩恵に預かれなかったので特に書くことはないです。
でも、以前の経験からYahoo!ニュースにパワーがあることはわかっているので、今回流入が少なかったのはやはり記事のテーマがニッチだったが故だと思います。
NewsPics
今回初めて掲載されて、多くの流入を生んでくれたNewsPicsには、こんな魅力を感じました。
- ソーシャルメディアで情報収集をしていない人にもリーチ出来る
- 濃いコメントが読める
NewsPicsは何より濃いコメントを読むことができるのが面白いですね。ヒットコンテンツを作る側の人にとって、NewsPicsがこんなに面白いとは知りもしませんでした。
だから多くの有識者と呼ばれるタイプの人たち(そして、オンラインで多く発信している人)が好んでNewsPicsを使ってオンラインコンテンツをシェアするんですね(もちろん、プロピッカーだからという理由でNewsPicsしてる人もいるのでしょうが。その点、僕はあまり詳しくないです・・・)
即時対応してよかったこと
前述した通り、流入がたくさん来ていることに気がついたあとに、僕は同記事に追記をしました。
内容はこれも前述の通り、どんな環境で検証したのか?ということがメインでしたが、その中にひとつ関連記事(GAの代替え手段としての簡易ユーザーテスト紹介記事)へのリンクを入れたのと、さらに別の「おすすめ関連記事」も複数、記事の下部に手動で加えました。
これをしたのがTwitterでのバズに気がついた19日0時頃。その時点でその後どの程度さらにその記事が読まれるかわからず、どのくらい関連記事の追加が効果を発揮するかわかりませんでしたが、結論から言えばやって正解だったと思います。
まず追記の本文中に記載した簡易ユーザーテスト紹介記事への誘導が300回、おすすめ関連記事に掲載した4つの記事への誘導が680回ありました。
26,000回閲覧されたページからの誘導が合計約1,000回なら3.8%ほどだし、少なくも見えますが、でもこれまで1日300PVとかしかなかった僕のサイトにとって1,000PVの”臨時収入”は大きいです。
やっぱり、細かなチューニングができることがインターネットのひとつの良さなので、なにかチャンスを見つけたら無駄かもしれなくてもすぐに対応してみるって大事だなということが勉強になりました。
まとめ
ということで、時系列と流入元別にそれぞれ分析してみました。
それこそ『【検証】やっぱりアドブロックでGA無効化は本当だった件【追記あり】』記事で書いた通り、同記事にアドブロック機能付きブラウザで訪問していたけれど計測されなかったという人も、割と少なくない数がいたのではないかと思います。
少しでもこういう可能性を残してしまう時点で、iOS9のコンテンツブロック機能が解析に与えた影響はすでに少なくないと言えるでしょう。
広告ブロックアプリ「Crystal」、広告主と提携し一部広告を表示許可へ | gori.me(ゴリミー)
こういう話もあるので、人気アドブロック化アプリがこれに対応してくれることを祈るのみです。
また、実は今回ヒットした記事は、書く前に結構「面倒くさいなーやめようかなー」と思いながら、その気持ちを押し殺して書いた記事でした。一方で「どうせ誰も見ないでしょう」と思った記事でもあり「そういうもんだよねー」と思った次第です。こうして分析して作った記事でも結局それが当たることも外れることもある、そんな世界に生きてます。
ということで長くなりましたが、以上、バンクーバーから@LeoTohyamaが、大ヒット記事の検証結果をお届けしました!