今週から参加しているVancouver Startup Week 2015。

本日3日目はバンクーバーをはじめとして北米6カ所でWebマーケティングや開発系のスクールを開講しているBrain Stationにて、オープンデータ×スタートアップをテーマに開催されたパネルディスカッション『Using Open Data in your Startup: Challenges and Opportunities』に参加してきました。

実はこれが、こっちに来て初めての勉強会系イベント参加だったので、少し緊張して会場へ行きました。

※オープンデータとは、ざっくり言えば公的機関や企業などが公共の利益のために無償公開しているデータのこと。日本では、総務省の定義に基づくと「(1) 機械判読に適したデータ形式で、 (2) 二次利用が可能な利用ルールで公開されたデータ」となっています。

Brain Stationは、こんな素敵なところ

会場のBrain Stationはお洒落エリア・イェールタウンにあり、超センスの良い内装でした。最近のWeb系企業の素敵オフィスって感じです。

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入ってすぐにあるBrain Stationのロゴ。

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こんな感じで、非常にゆったりスペースを使っています。多分コワーキングスペースとしても使えるんだと思っていましたが、ウェブサイトを見る限りそうは書かれていないので、生徒専用スペースかも。質問すべきでした。

なんにしても、イノベーションが生まれそうな良い環境です。

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だってイノベーションが生まれるオフィスには絶対ある卓球台もあるし。

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こちらが今回使われたセミナースペース。40人は入れるように席が用意されており、今回はほぼ満席だったので35名くらいは参加していたのかなと思います。

なお、VancouverのBrain Stationでは、デジタルマーケティングコース、UXデザインコース、ウェブデベロップメントコース、iOSデベロップメントコース、そしてプロダクトマネジメントコースの5つが開講中!特に前ふたつ、めっちゃ興味ある!

印象に残った話

今回パネリストとして登壇したのは、いずれもデータビジュアライゼーションを得意とするスタートアップのPlot + ScatterとKnomosから、それぞれCo-FounderのFrank Hangler氏とCo-Founder & CEOのAdam La France氏です。

まずはそれぞれがオープンデータに関しての捉え方を話してから、パネルディスカッション、そしてオープンクエスチョンとなりました。

その中でも印象に残ったデモ・話は次の3つ。

カナダで今年10月に行われる総選挙をPlot + Scatterがビジュアライズ!

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Frank Hangler氏による自社ポートフォリオのデモの中で、カナダの総選挙に向けてオープンデータをビジュアライズしたものが紹介されました。

Canadian Election Explorer

これが使いやすくて、前回2011年に行われた選挙の時の結果と最新の予測データを比較したり、地区ごとの戦況がわかりやすくなっていたりして、それをユーザーがグリグリ動かしながら見て回ることができます。いわゆるインタラクティブなコンテンツ。

地区ごと、党ごと、前回比の得票数伸び率ごとでソートできる機能や、選挙を有利に進めている党と次点の党の差が僅差な地区だけを見る機能もわかりやすくて助かります。

そう、特に僕みたいな英語がわからない外国人にとって助かります。正直、カナダの政治についてあまり詳しくないのですが、これを見る限り今回の選挙ではこれまで第1党だった右派(Conservative)が票を落とし、左派(Liberal)が票を伸ばして第1党を奪取するという予測みたいですが、まだまだ僅差で競り合っているようです。勉強になる!

日本でもここ数年は、選挙が行われると複雑なデータを綺麗に可視化してくれるサイトがあるし、選挙の前に自分がどこに投票すべきか簡単なQ&A方式で教えてくれる一種のデータビジュアライゼーションの事例が増えていますが、広大な土地に本当にたくさんの異なる文化が詰め込まれた感じのカナダでは、地域間の特色の差がより鮮明に可視化される感じで非常に面白かったです。

法律データのビジュアライゼーションに感動!

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続いてプレゼンテーションしたAdam La France氏がデモをしたコンテンツが、もっと感動ものでした。

彼が見せてくれたのは、法律データのビジュアライゼーション。

難しい法律の中のどの部分に自分が探している文献があるかって、普通の人が知ろうと思ったらずっと読んでいくしかありません。それってつまり、不可能ってことです(極端に言えばね)

たとえその法律がオンラインに検索可能なデータとしてアップされていても、普通の人はまずどの法律のページを見るべきなのかというところで躓くでしょう。その後それっぽいページに行き着いても、ページ内のどこに自分が探しているワードがあるのかわからない。じゃあってことでページ内検索をかけてヒットしても、ヒットしたうちのどれが自分にとって必要なのかわからないので、結局その章を丸ごと読まないといけないみたいなことになってしまうんです(って彼が言ってました)

彼らがビジュアライゼーションした法律データでは、まず法律が細かく階層化・カテゴライズされ、カテゴリ検索やキーワード検索をしながら関連語に飛びつつ、最短で自分の知りたい情報だけにアクセスできるという画期的なものに見えました(少なくともデモを見る限り)

ビジュアル化されたものなので言葉で説明するのが難しいのですが、上の写真のように円形になったUIのカテゴリ検索で、場面に合わせてバブルになったりもして、とにかくわかりやすかったです。

オープンデータを扱う際に、困難だったことは?

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オープンデータに関しての悩みは両者ともに同じだったようで、困難だったこと(チャレンジングだったこと)を聞かれた際に揃って「データをクリーンにすること」だと答えていました。

どういうことかというと、オープンデータとはいえその状態は様々であり、提供機関に利用申請をすると時にはPDFで、時には紙の資料で手渡されるため、まずその分析ツールにかけられない状態をかけられる状態にすることが最も大変なのだというのです。

なぜ印象的だったかというと、僕自身学生時代の卒業研究でも、会社に入ってからのウェブ解析業務でも、常にこの問題とはぶつかってきたからです。特に卒業研究の時は 、古い本とその本を画像にしたものしかないデータからデータマイニングツールにかけられる状態にするまでに何日も夜遅くまで作業しました。

そんなことがちっぽけに思えるほど途方もないビッグデータをクリーンにする仕事、考えるだけで辛い・・・

別の質問でFrank Hangler氏が「いくつもオープンデータの方式にスタンダードがあったら困るよね。せめて2〜3にしてほしい」と言っていて、みんな納得。

まとめ

参加してみると、「オープンデータ」というよりは「データビジュアライゼーション」の話が多かったのですが、それはそれで楽しむことができました。そしてなにより、こういったバンクーバーを中心に活動しているスタートアップについて知ることができたことが、1番の収穫だったと思います。こういうのはオンラインだけじゃ見つけられない!

こちらは上記しなかったですが、会場からの質問の中に「そのままでは無価値なオープンデータに価値を加えるためにできることは、「ビジュアライゼーション」「分析」の他に何があると思いますか?というものがあって、この視点は新しいと思いました。

さらに、この質問に対するパネリストからの回答がモヤっとしていたのですが、そこにすかさず会場内の別の参加者から「私はデータに指針を与えることも付加価値を生むと思うわ」という意見が飛んできて、すげえ熱気だと心が熱くなりました。多分こういうパターンは、日本では経験したことがない。

そんな熱気あふれるイベントに参加したい方は『Vancouver Startup Weekの全参加予定イベント予習 #VSW2015』を読んで来年に備えましょう!

以上、バンクーバーから@LeoTohyamaが、お洒落スクールで開催されたオープンデータ勉強会の様子についてお届けしました!