10月21日に、京都の京都リサーチパーク内にあるコネクトフリー社にて開催された『モノに寄る夜、IoTに関するファイヤーサイドチャット』に行ってきました。

イベントタイトル通り、IoTについてDOKI DOKI, Inc.の代表である井口尊仁さんと株式会社はてなの代表取締役会長である近藤淳也さん、コネクトフリー株式会社の代表取締役である帝都久利寿さんの3名が各々の考えをシェアし、集まった参加者と意見交換をしました。

それぞれの視点からのIoT

3名のスピーカーはそれぞれ、IoTに対する立場が違う方であると感じました。

最初にプレゼンテーションした久利寿は、IoT時代のモノに入れる通信チップを開発している話をしました。特に強調していたのは、人間はせいぜい世界に70億人しかいない。でも、モノなら500億〜1超のデバイスをインターネットに繋げることが出来るんだ!という話で、つまりは、久利寿とコネクトフリー社が作っているモノに入れる通信チップの可能性が凄いということをおっしゃっていたのだと理解しました。

次に話した井口さんは、製作中だというボタン型の小さいデバイスの紹介をされました。そのボタンを、モノとか場所とか人とか、とにかくいろんな場所に設置することで、そのいろんなものが互いに繋がって、まあとにかくなんかが起きるみたいな発想の新しいデバイス(?)みたい。

多分このボタンは、そもそももっともっといろんなモノがネットに繋がって、ネットからの指示によって反応が返せるようになったときに、生活を便利にしてくれるんだろうなと思いました。いつかスマホは持ち歩かないでよくなる世界とかが訪れたら、街中にあるディスプレイをボタンを持って近づくだけで自分のコンピューターとして起動できたりするのかも。多分、もっと画面を通したインターネットじゃない活用方法になるけどうまく説明できない。

最後に近藤さんが話しました。近藤さんは、自身でもIoTについてあんまりわかっていないとおっしゃっていて、だからこそ誰にでもわかりやすい視点でのIoTの話になりました。モノとヒトだけじゃなく、自然とも繋がれたら良いのにとおっしゃっていたのが印象的。

それと、そもそもモノの前にヒトのことだって私たちはわかってないんじゃないか?という話も面白かったです。なぜ遠距離でのSkype会議は、話している内容が全く同じでも対面で話すときより伝わる量が少ないのか?そもそも対面で話したとしても、伝わりやすいヒトと伝わりにくいヒト(空気読めない)がいるのはなぜか?IoTでヒトがもっと繋がることによって、これができるようになるかもしれないことに興味があると近藤さんはおっしゃっていて、彼がはてなスターやブックマークで人々が微妙な感情をシェアする文化を作られてきたことのルーツを考えると、この話が僕にはとても興味深く感じました。

感想1:メディアは今までが優遇されすぎていた

イベントに参加してみて、これまでのインターネットってメディアにとってとても優遇されてきたんだろうなと感想を持ちました。これまでのインターネットでは、基本的にディスプレイを通して指示を出したことが、ディスプレイを通して伝わるにすぎませんでした。あとマイクを通じて指示したことがスピーカーを通して伝わるとか。人間の感覚で言ったら視覚と聴覚。

だから元々オフラインで視覚と聴覚に訴えることをしてきたメディアにとっては、ある意味超強力な媒体だった訳だけれども、それを伝統的なメディアは活かしきれず、逆にルーキーがたくさん登場することになり、その結果GoogleやYahoo!、Facebookが広告モデルで一気に大企業になったのでしょう。

でも、ディスプレイを通したインターネットはかなり飽和してきちゃったと思います。Google GlassもApple Watchも、どっちも画面を中心にしたデバイスだから、大ヒットしたとしてもユーザーがスマホを見ていた時間を奪うだけ。

だからインターネットはモノに主戦場を移すわけだけど、そうなったらもう新たにGoogle級・Yahoo!級・Facebook級になるメディアは登場しづらいだろうし、なんかそういう時代は終わったんだろうなあと思います。なくなるという意味じゃないですが、一番熱い時代は終わったという意味で。「コンテンツ」も、テキストか動画か音かなんてのは”トレンド”レベルの些細な問題でしかなく、むしろモノそのものとしてのコンテンツが重要になると思うのです。

これ以上の結論は熟考した方が良さそうなので寝かせます。

感想2:ウェブ解析の未来

まだ需要は増えるでしょうが、めちゃめちゃ需要が伸び続けるとは思えません。多分解析士は、リアルを含めた購入体験までのPDCAモデルを設計出来るようにスキルアップするか、リーンな仮説設計〜分析と制作ディレクションまで出来る人になるか、よほど確実にウェブだけで売り上げを上げるコンサルが出来るようになるか・・・。

とにかく今のまま、画面の中のユーザー体験だけを分析する解析士はつらいでしょう。

ここは、自分のスキルの伸ばしどころを見極めなくてはと思うポイントでして、僕の場合はUXリサーチの経験を通じて「リアルを含めた購入体験までのPDCAモデルを設計出来るようにスキルアップする」道を選ぶべく修行中です。

なんにしても面白いイベントでしたし、参加してよかったと思いました。IoTが日常化するプロセスは、多分各家庭にPCのディスプレイが導入されてみんながスマホを持ったときのように、それまで生活になかったものが導入されるわけではないので、大げさな話にはならない気もしていますが、多分5年もすればいつのまにかIoT時代になっていると思います。

そのときまでに自分のいろんなスキルを伸ばしておかないとと思うのと同時に、そんな未来にドキドキするのでした。

↑おまけ:近藤さんと久利寿がカラオケしてるみたいな画像