音楽系の話題をあれこれと掲載し続けていて、先日KDDIに買収される事になったウェブメディア『ナタリー』を、編集長の大山卓也さん自ら振り返る本書。ナタリー共同創業者の津田大介さんが紹介していたのをきっかけに発売日に買って読むことになりました。

IMG 2215

どんな本?

前述のとおり、編集長の大山さんがナタリーのこれまでを振り返ります。変にドラマチックに脚色することなく、かなり淡々と書かれていることがこの手の本の中では特徴的だと思います。このスタイルこそが、本書で散々言われている「ナタリーは批評をしない音楽サイト」というコンセプトの「批評をしない」部分を編集長自らが体現している(というよりも、大山さんのスタイルがナタリーに色濃く反映されている)のだと読み取りました。

津田さんとの出会いを含めた、立ち上げまでの経緯。立ち上げから安定して収入を得るまでの苦労と、マネタイズのきっかけ。「ナタリーらしさ」へと繋がるメディアコンセプトやポリシー。今後の話。これが本書で書かれていることです。

ポイント

雑誌を経験しておらず、ウェブでも誰かに師事してコンテンツを作るという経験をしてこなかった僕にとっては、次の一説が大変勉強になりました。

たまに人から「どうすればナタリーみたいなサイトが作れるんですか?」と聞かれることがある。そういう時は包み隠さず、自分たちがやっていることをすべて話すことにしている。具体的には記者全員が毎朝10時に出社して、1人あたり数百件のウェブサイトをひたすらチェックする。

<中略>

それらをもとに多いときで1人あたり十数本の記事を書く。合間にインタビュー原稿をまとめ、記者会見の現場を訪れ、写真のセレクトをして、夜はライブに行ってレポート記事を書く。さらに朝から晩まで電話取材。「芸能人の○○さんが入籍されたそうですが、公式にコメントを出す予定はありますか?」

<中略>

言葉にするとどれもこれもニュースメディアとしてやるべき、当たり前のことばかりだ。

引用:引用元

諸先輩方からはそれこそ「そんなことは当たり前だ」と言われること必至だろうけれど、自分にとって再認識とはいえ新鮮で、陳腐な表現ですがガツンと頭を打たれたようでした。地道にコツコツやることが大事ですよね。

まとめ

本書を読み、コミットすると決めたものに対しては、きちんとコミットしてやることの重要さを学びました。僕は正直、コツコツと365日マシーンのように記事を更新できるタイプじゃないですが、タイプじゃないのは自分の問題ですので、いいものを作りたければどこかにコツコツやる時間を作らなければいけない。それが僕にとってコミットするということ。

本当に至極当たり前なことなんですけど、学びになりました。

おまけ

本書に関連して、津田さんがご自身のブログに津田大介から見たナタリーについて書かれています。こちらも是非。

> 音楽配信メモ 音楽配信メモとナタリー

※この記事は、以前別のブログで書いたものの編集・再掲載版です