11月の後半にGoogleから、同社がWebページの品質を評価するGoogle社員のために作った公式ガイドラインの完全版が発表されましたね!もう、お読みになられましたか?

あくまでGoogle社員(Webページを評価する側)のために作られた資料ですが、良質なコンテンツとは?という、答えのない問いに対するGoogleなりの回答がまとめられていて、Webページをつくる側にとっても非常に読む価値のあるテキストになっています。

ただ、英語版しかないので、まだ読んでいないという方も少なくないでしょう。

僕は、バンクーバーで通っている学校の課題として、本資料の第1章『ページクオリティー評価ガイドライン』を読むことになり、範囲内だけですがひと通り目を通しましたので、今回のポストに要点をまとめたいと思います。

ただし、完全翻訳などではありませんので、もし詳細や正確な情報が知りたいという方は元のPDFの方に飛んで閲覧してください(以降、各見出しの後ろにつけたページナンバーが、その内容に言及しているPDF内箇所のページナンバーとなります)

Google的、Webページの3要素(p. 9)

まず前提のお話として、GoogleはWebページをどのように要素分解しているのか?ということについてまとめます。

Webサイトを制作する際、制作の過程でページをいくつかの要素に分解して考えますよね。メインカテゴリはどうするかとか、左右カラムはどうだとか、メインビジュアルはどうしようとか、コンテンツエリアはどうしましょうとか。

Googleのコンテンツ評価者たちは、(もちろん意味合いは制作者とは違いますが)ページの構成を大きく3つのパートに分けて考えているようです。

  • メインコンテンツ(MC)
  • メインコンテンツとは、その名の通りメインのコンテンツが表示されている領域のこと。ブログなら文章ですし、動画共有サイトなら動画、写真共有サイトなら写真になります。

  • サプリメンタリーコンテンツ(SC)
  • サプリメンタリーコンテンツとは、MCでもAdsでもないところで、通常はサイト上部のメニューや左右のカラム、フッターなどがこれにあたります。

  • 広告・マネタイズ(Ads)
  • その名の通り広告やマネタイズを目的としたリンクやコンテンツ部分が、このAdsにあたります。なおGoogleは、Adsそのもののことを否定していません(AdwordsをやっているGoogleが否定するわけはないですよね) 一方でGoogleは、ユーザーのMC利用を邪魔する広告や、普通のページに掲載されたエロ系広告などに関しては、低く評価されるべきであると示しています(p. 10, 35, 36)

GoogleGuideline01

それでは続いて、Googleのコンテンツ評価者がどのようなページを「質の高いページ」だと見ているのかについて、ガイドラインに記載されていることをまとめます。

Google的、質の高いページに特に必要な、3 + 4つのポイント(p. 20)

Googleガイドラインによると、質の高いWebページには次の3つの要素のうちひとつ以上が含まれているそうです。

  • 十分な量と質のメインコンテンツがある
  • コンテンツに専門性、権威、信頼性(E-A-T)がある
  • 他者からの評価(レピュテーション)が高い

これら3つのポイントについては、この後じっくり説明します。

さらに、質の高いページやWebサイトは、次の4つの要素にも注意が行き届いているべきであるとGoogleのガイドラインには記載されていました。こちらは簡単に説明してしまいます。

  • Aboutページやコンタクトページがある
  • 買い物サイトや、お金・医療・法律関連の情報が掲載されているページ(Googleではこういったページを「YMYL Webサイト」と呼んでいます)では特に、そのサイトの情報、そのページの執筆者情報、コンタクトインフォメーション等が記載されていることが重要だそうです。また、YMYLではないページ・サイトにも、管理者のe-mailアドレスのような情報は記載されていることが、質の高いページ・サイトの条件となるようです。

  • UXが考慮されたSCが用意されている
  • ショッピングサイトでユーザーが気にいるような関連商品がSCに掲載されているとか、エンタメサイトでユーザーが見たくなるような関連コンテンツがSCに掲載されているとか、そういった点に注意が行き届いているSCを、Googleはページの質を上げる要素だと捉えているようです。

  • MCやSCをサポートする機能的なサイトデザイン
  • 「MCがページの全面中央に配置されている」「ファーストビューでMC領域が見える」「どれがMCであるのか明瞭」「AdsやSCがMCを邪魔しない」「どれがAdsであるのか明瞭」これらの要素を満たしたサイトデザインが、MCやSCをサポートする機能的なサイトデザインです。一方で、ただ見た目が良いサイトと、機能的なデザインのサイトは違うということも、ガイドラインには記載されています。

  • メンテナンスされている
  • ニュースサイトであれば記事の更新頻度が重要ですし、医療系のサイトであれば内容が最新のものにアップデートされていることが重要です。一方でスモールビジネスのサイトは、それらに比べると更新頻度は高くないかもしれませんが、営業時間や住所の変更時には、情報を更新する必要があります。

GoogleGuideline02

それではここからは、先に挙げた次の3点を見ていきましょう。

  • 十分な量と質のメインコンテンツがある
  • コンテンツに専門性、権威、信頼性(E-A-T)がある
  • 他者からの評価(レピュテーション)が高い

十分な量と質のメインコンテンツがある:
Googleが何度も強調する、良いメインコンテンツに共通するポイント(p. 20)

Googleが考える質の高いページに特に必要な3つの要素のうち、最初のポイントが「十分な量と質のメインコンテンツがある」ことです。

Googleはこのガイドラインの中で、良いメインコンテンツに共通するふたつのポイントを何度も何度も繰り返しています。次のふたつです。

  1. 時間と手間をかけて作られたコンテンツであること
  2. 特定の専門知識や才能、スキルをもってして作られたコンテンツであること

2は、とはいえ良いメインコンテンツを作るのがいつも専門家である必要があるかといえば、そうではなく、趣味でそのトピックに詳しい人や、日常の中でそのトピックについて実際に体験したような人(ブロガーなど)も、トピックによっては質の高いページの作り手になることが可能とのこと。

全てはどんなトピックのコンテンツか次第で決まります。

一方で1は、誰にでもできることですね。情熱を持って作り込まれたコンテンツは、基本的にGoogleからは評価される方向で考えられるということです。

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コンテンツに専門性、権威、信頼性がある:
コンテンツのE-A-Tを磨く3つの問い(p. 21, 27)

「コンテンツにE-A-Tがある」というのが、Googleが考える質の高いページに特に必要な3つの要素のうち、ふたつ目のポイントです。

前述の通り、E-A-Tとは専門性、権威、信頼性のことです。それぞれの英語Expertise、Authoritative、Trustworthyの頭文字をとってE-A-Tと呼ばれています。

コンテンツのE-A-Tを磨くために、まずどのようなコンテンツのE-A-Tが高いとされるのかを知る必要があります。E-A-Tの高いコンテンツとは、次のようなコンテンツだそうです。

  • そのトピックの専門家によって作られたコンテンツ
  • 医療系、法律系、お金系などのコンテンツ(YMYL Webサイト)の場合は特に、専門家によって作られたコンテンツに専門性や権威、信頼性があるとされます。例えば医療に関する具体的なアドバイス等であればなおさらそのように考えられるため、YMYLトピックのメインコンテンツの質を高めるためには、その道のプロに制作協力を依頼するか、プロ自身が制作者になる必要がありそうです。

  • ブロガー等、普通の人によって作られたコンテンツ
  • 同じく医療系や法律系のセンシティブなコンテンツでも、体験談的な内容であれば、それらも評価されるべきだとGoogleは考えているそうです。例えば、特別な病気に関して、個人的な体験談をシェアするようなコンテンツなどがそれに該当するとされています。また、自分が使った商品の紹介コンテンツや、Tipsをシェアするタイプのコンテンツの作り手などは、人生経験を通してそれらのトピックのエキスパートになった人だと考えられるのだそうです。

これらのことから、個人ブロガーやスモールビジネスがE-A-Tの高いコンテンツを作ろうとした場合、まずは自分がエキスパートだと言える分野を探すところから始めることが重要になります。あるいはレビューやTipsなどの誰でもエキスパートになれる領域を攻めるかです。

一方で、コンテンツに外部人員を採用できるほどの予算を割けるような大きな組織や、組織内に専門家が何人もいるような組織の場合、E-A-Tの高いコンテンツを作る際にはまず、次の3つの問いに回答する必要があります。

  • 誰がそのトピックの専門家なのか?
  • そのトピックの信頼性を上げるものは何か?
  • そのWebサイトの、そのトピックに関する権威を高めるものは何か?

あまりにもサイト運営者の事業内容とかけ離れたトピックを選べば、いくら専門家をアサインできると言っても、その分野の権威が高まることはないでしょう。また、あまりにトピックを多様に広げてしまっても、専門性が薄れてしまいます。

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他者からの評価が高い:
Googleが考える、レピュテーション(p. 16)

Googleが考える質の高いページに特に必要な3つの要素のうち、最後のポイントが「他者からの評価(レピュテーション)が高い」ことです。

そもそも、どういう状態を他者からの「評価が高い」とGoogleは判断するのでしょうか?ガイドラインには次のような条件が記載されています。

  • ショップであれば、(Yelpや食べログなどの)評価サイトでのユーザーの声がある
  • ニュースサイトであれば、アワード受賞暦など(ピューリッツァー賞他)がある
  • ユーモアサイトであれば、その人気やユーザーのエンゲージメントが高い
  • 第一人者、エキスパートからの推薦がある

ご覧いただくとわかる通り、Webサイトへの評価だけでなく、Webサイト所有者への評価も重要であり、お店であればお店そのものの、企業であれば企業そのものの評価がレピュテーション評価にも影響を与えるようです。

その他、ニュース記事やWikipediaページ、ブログポスト、雑誌記事、フォーラムサイトでのディスカッション等からの評価も、該当Webページのレピュテーション評価時に参考になると推薦されています。

これらの評価を高めるには、シンプルに自らの商品価値を高めたりコンテンツそのものに情熱を傾けて少しでも人の役に立つコンテンツを更新していくことがカギとなるでしょう。

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まとめ

Googleの公式ガイドラインに基づいて、良質なWebページ、コンテンツについて見てきました。

改めてまとめると、良質なWebページを作るためには、次の要件をひとつずつ満たしていけるように努力するのが良いでしょう。

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再度確認しておくと、本ガイドラインはあくまでGoogleが自社のWebページ評価者のために作ったものであり、Webページを作る側の我々のために作られたものではありません。

まだまだ具体的でなかったり、いざWebページを作っていくとこれでいいのか?と壁にぶつかることもあるでしょうが、GoogleやトップSEOプレーヤーがよく口にする「良質なコンテンツ」を体系立てて考えるきっかけとしては非常に良い教材ではないでしょうか。

ぼんやりと「良質」を強調されるよりは、だいぶ明瞭になった気がします。

なお、このGoogleの公式ガイドラインですが、Web業界にいる人間であれば頑張れば読んでいける程度の、そんなに難しくないボキャブラリーや文法が使われています。これから年末年始のお休みに入る方も多いでしょうし、お時間がある方は一度さらりと、気になるところだけでもご覧いただくことをおすすめします!

PDF: General Guidelines

以上、バンクーバーから@LeoTohyamaが、Google公式ガイドラインに見る、良質なWebコンテンツについてお届けしました!