4月の終わりからバンクーバーに来て、5月の頭からBCITのISEPコース(ブリティッシュコロンビア州立工科大学・インターナショナル・スチューデント・エントリー・プログラム)に通いはじめ、先日やっとひとつめのターム(7週間)が終わりました。「やっと」と言いつつ、この7週間のあっという間加減には非常に驚いています。凝縮された7週間でした。

ところで、1タームを終えてみると「この情報来る前に知ってたらよかったのに」という話がたくさんあります。しかしイマドキ驚くべきことに、ISEPは日本からの留学生が非常に多い地区ブリティッシュコロンビア州の州立大学公式英語コースであるにもかかわらず、日本語の情報にほとんど行き着くことができません。

ということで本記事では、僕がBCITのISEPコースに1ターム通ってわかってきた17のことを紹介します。

基本的なこと

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まずそもそもの話として、僕はこちらにくるまで、BCITとISEPの関係がよくわかっていませんでした。簡単に説明すると、BCITというのが州立大学の名前、ISEPというのが外国人留学生のためにBCITが開講しているひとつのコースの名前です。普通の語学留学だと語学学校に通うので、BCITという大学の語学コースに通うというのは、僕にとっては理解しづらかったのですが、これから来る人は胸を張って「州立大学の語学コースに留学する」と言っていいと思います。その方がかっこいいでしょ?(笑)

では、その他の基本的な話に移ります。

1. BCITは、バンクーバーでは超有名

日本ではほとんど無名のBCITですが、バンクーバーでは超有名です。州立大学だけど、高度で専門的な技術を学べる学校として企業からの評価も高いのだとか。もちろん僕が就活をしたわけではないので、検証が十分とは言えませんが、こちらに来てから何人かの人(別の学校の人やこちらで働いている人)にそう言われました。

例えば引っ越す家を探している時に、新しいルームメイトにどこの学校に通っているの?と聞かれ「BCITだよ」と答えると「ああ、あそこはいいね」と言われる、みたいな感じでした。また、こちらでは留学生の間でも有名なようで、彼らにとっては「めちゃくちゃ勉強させられる厳しい学校」として広く知られているようでした。

2. 思ってた以上にでかい学校

BCITのISEPコースは、想像していた以上にたくさんの人が受講するコースでした。確かに、考えてみれば州立大学のコースなので生徒が多いのも理解はできますが、そのあまりの日本での知名度のなさを考えると、やっぱり人の多さにびっくりします。

同じタームから入学する生徒が一堂に会した初日のオリエンテーションで見た感じ、目算で90名近い生徒が一度に入学していました。約2か月でひと周りするコースの1回の入学者が90名なので、単純計算すると1年で540名が入学する語学コースです。

ひとクラスの人数はレベルによって違うものの、僕の入ったレベル400には1クラス約20名の生徒がいて、それが4〜5クラスくらいあるという状況でした。他の学校に通う友達の話を聞くと、3名のクラスでやっている学校も普通にあるみたいなので、ISEPの人数は他と比較しても本当に多いです。

それもあって、授業は高校の授業みたいでした。

3. BCITのISEPコースは、中国人が7〜8割を占める

こちらに来る前から聞いてはいたことですが、BCITのISEPコースにはとにかく中国人の留学生がたくさんいます。初日のオリエンテーションでは、こちらも目算ではあるものの実に会場の9割くらいが中国人留学生でした。

その後クラスにて確認したところ、クラスの24人中、約7割にあたる17人が中国人で、他は韓国人が2人、イタリア人が1人、インド人が1人、タイ人が1人、ベネズエラ人が1人、そして日本が僕1人でした。

正直ここまで中国人が多いとは知らなかったし、それ以上にここまで中国の人が多い環境というものを日本にいるうちに想像できなかったけれど、この比率には最初かなり驚き、すこし心が折れそうになりました(笑)

なんでかというと、中国の人が多すぎる関係で、どうしても彼らは中国語で話したがるんです。もちろん中国人の全員がではないですが、一部の子が中国語で話すと相手の子も中国語で返さないといけなくて・・・という感じが目につきました。学校は基本的に、クラス内では英語以外禁止なので、この現象は主に休み時間に発生することが多かったですが、僕自身が英語にも慣れていないはじめのうちは、なに言ってるか全くわからない中国語がすごく耳障りでした。

ただし、これは2〜3週間して自分に余裕が出てきたら慣れました。

学校設備

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次にBCITの、主にISEPコースに関連する設備面のことをご紹介します。

4. キャンパスがダウンタウン中心の駅近にあって便利

BCITのISEPコースがあるダウンタウンキャンパスは、バンクーバーのダウンタウンにある駅のひとつグランビル(Granville)から徒歩3分以内の場所にあり、近くにコンビニもスタバもファストフードもなんでもある好立地です。街の中心すぎて飲み屋の隣にある語学学校とかもありますが、BCITのまわりはもう少し落ち着いているというのも僕としては好きなポイント。

同じダウンタウンキャンパスでは他にも、現地社会人のためのパートタイムのコースや、僕がISEP卒業後に行く予定のNew Media Design and Web Development programというウェブ系のコースなども開講されています。詳しくは僕もわかっていないので、どのコースがダウンタウンで開催されているのかについては、公式サイトなどで確認してみてください。

5. 自由に使える学生ラウンジと、電源付きのカウンターが最高

ダウンタウンキャンパスの6階にある学生ラウンジは、ご飯を食べる時や勉強をしたい時にいつでも使えます。10台くらいの電子レンジと暑いお湯の出る水道(カップラーメン用)が並んでいて、とても便利。

また、各フロアに自習スペースがあり、今の所いつ行ってもどこかのスペースが使えるので、集中して勉強したいという人には良い環境だと思います。

特に6階の自習スペース(上の写真)は、ガラス張りの天井と窓を向こうに見ながら勉強ができて、かつコンセントもあるという、最高の場所です。僕は7週間ほぼ毎日、授業後にそこに行って勉強してから帰るという日々を送っていました。

6. コンピューターがある教室も自由に使える

コンピューターがある教室(LABクラス)も、基本的に学校が開いていれば使えるので便利です。

僕は日本にいる時からパソコンをいつも持ち歩く人だったので、そんなにパソコンルームの必要性を感じませんでしたが、クラスメートは毎日授業後にそこで勉強(とおしゃべり?)してたみたいです。

ただ、パソコンを持っている僕でも重宝したのがプリンター。何かを印刷したい時、LABクラスのコンピューターを使えば1回10円くらいで印刷できるので、よく行っていました(授業で「パソコンで書いたエッセイを印刷して持ってきなさい」というような課題もあるので、プリンタ環境は必須)

7. 土日も22時まで空いてるダウンタウンキャンパス!

ダウンタウンキャンパスは土日も空いていて、空いている時は前述のラウンジやLABも自由に使うことができます。家だとなかなか集中して勉強できない僕みたいなタイプの人には、非常に助かります。かつ、時間も朝は7時くらいから夜は22時までの利用が可能。これだけのスペースが長時間、無料で使えるのは、ちゃんと勉強したいという人にとってはありがたいでしょう。

余談ですが、ダウンタウンには 市立図書館もあって、そこの勉強スペースも非常に良い環境です。かつ、たくさんの自習スペースが用意されていて落ち着けるので、僕は学校で勉強したりその図書館で勉強したり、時にはスタバなどのカフェで勉強したりといった具合に、ノマド学生をしています。

8. 最初の週は、学校のWi-Fiとパソコンが使えなかった!

設備に関しては良いことばかり挙げてきましたが、学校が始まって最初の週にWi-Fiやパソコンが使えなかったのはマイナスポイントです。どうやら学生登録が済んでいなかったらしく、1週間後にはどちらも使えるようになりましたが、1ターム7週間のうち1週間も使えないっておかしいです。

だいたい、ほとんどの学生が授業開始の1週間前には実力試験を受けに学校に来ているわけだから(僕は2週間前に受験しました)、そこから1週間もあれば登録できるだろうに。

・・・愚痴が言いたいのではなく、じゃあ何が言いたいかというと、最初Wi-Fiが使えなくても心配しなくてOKということです。僕以外にもたくさんのクラスメートが学校のスタッフに「Wi-Fiが使えない」と聞きに行ったみたいなのですが、みな同様に「1週間したら使えるから」と言われたそうです。

授業

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次に授業の様子についてご紹介します。ちなみに、僕は実力試験の結果レベル400(100〜600まであるうちの)からのスタートだったので、授業は主にレベル400についての話がメインになります。

9. リーディング / レベル400

レベル400のリーディングでは、マーケティングやテクノロジーに関する話を読むことが多く、ウェブマーケティング業界での業務経験を経て留学した自分にとってはどの話もとても興味深いものでした。そもそもISEPコースに通う学生は、卒業後にBCITの技術系のコースへの進学を希望する人が多く、また学校全体として生徒に実践的なスキルを身につけさせたいという考えがあるようで、授業のテーマもテクノロジーとかビジネスといった話が多くなる傾向にあるようです。

なお、実際に授業で読んだテーマはフォーカスグループインタビュー(マーケティング)や最新のロボット事情(テクノロジー)、虫食について(これだけちょっと異色)など。また、期末テストのテーマはゲーム内広告(マーケティング)でした。

10. ライティング / レベル400

レベル400のライティングでは、サマリー(要約)の書き方とエッセーの書き方を習います。

サマリーライティングでは、まず文章が提示されてひたすら類語や置き換えなどを使って自分の言葉で言い換えるということをさせられました。これまで日本でしていた学習では、英語を日本語にしたり日本語を英語にするといった勉強方法だったので、英語を英語で言い換えるのは最初非常に難しいし、ボキャブラリーの少なさを痛感しました。

エッセーの書き方については、以前このブログでも紹介しました。

こんなの常識!?ライティングスキルが向上するエッセーの書き方!!

僕はこれまで、日本でエッセーや文章の書き方を体系的に学ぶことはなかったので、英語に限らず文章のレベルがアップしたと実感しています。こういう、日本で習えないことを習えるというのも留学ならではでいいですね。

11. スピーキング / レベル400

レベル400のスピーキングでは、街に出て道行く人にアンケート調査を行った上で、それをまとめて授業でプレゼンしたり、自分の将来のキャリアに関して調べてまとめたことをまたプレゼンしたり、Six Thinking Hatsというディスカッションの方法を学んだりして、とにかく実践的で凝縮されていました。

最初のプレゼンは、僕のグループはバンクーバーの人の日本食についての知識を質問するというテーマになり、その詳しい調査結果は以前ブログにまとめましたので興味があればご覧ください。

バンクーバーの街角で、日本食についてアンケートしたよ!

キャリアのプレゼンについては、事前リサーチ時にまとめたBC州におけるウェブディレクター&デザイナー職に関する記事はブログで公開しているので、こちらも興味があればご覧ください。

バンクーバーにおける「ウェブディレクター職」について調べてみた

また、プレゼン本番で利用したスライドは、スライドシェアにアップロードしました。

6 Thinking Hatsに関しても個別にブログにしているのでこちらをご覧ください。

6 Thinking Hatsの術を学び、ブレスト力を高めよう!

12. リスニング / レベル400

レベル400のリスニングでは、主にノートの取り方について学びました。日本でも紹介されているカーネル大学式ノートテイクという方法で、10分〜15分のラジオやスピーチをノートにとって、最後にサマリーを書いて提出する課題が何度か出たのと、ノートテイクしたあとに出された問題に答えるというテストが期末テストを含めて4度くらいありました。

リスニングほど「日本語でならどれだけ簡単にできるか」と心から思った科目はないのですが、10分〜15分の音声が流れている間は嫌でも英語に集中せざるを得ないこのスパルタレッスンは自分のリスニング力向上にとても役立ちました。

13. 1日の勉強時間

1日の勉強時間は、まず学校の授業が週に3日は6時間、週に2日は4時間。それに宿題と復習が4時間〜6時間くらいかかるので、合計するとだいたい8時間〜12時間くらいはしていました。朝の授業が、早いと8時半から始まっていて、3時半に授業が終わり、7時まで学校で勉強してから帰ってご飯食べて、そのあと2時間くらい勉強して、その後仕事とかブログ書いたりして寝る感じです。

予想以上にタフな時間を過ごしました(苦笑)でも、ちゃんと勉強したい人にとっては良い環境だと思います。

日本にいるうちに予習できること

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僕が日本にいるうちにしたことは、Skype英会話(DMM英会話)とスピードラーニングのポッドキャストを聞くことだけ・・・。それが役に立ったのか立たなかったのかはわかりませんが、もしISEPに行くのであれば他にもできることがあるので紹介しておきます。

14. 文法

まずは文法についてですが、もちろんいろんな型をおさらいしておくに越したことはないと思います。しかしそれ以上に重要なのが、各文法用語を英語でなんというか理解しておくことです。

「能動態」を英語で言うと?「受動態」は?「未来進行形」「未来完了形」は?そもそも「動詞」「名詞」「代名詞」「形容詞」「副詞」などなど・・・わかりますか?授業では普通に、これらの言葉がいきなり英語で出てきます。

僕は最初、その辺りの文法用語がわからなかったので、はっきり言って授業の9割わかりませんでした(笑)もし可能なら、文法用語の英語名だけは覚えておくことをおすすめします。

15. AWLワードを暗記する

ISEPでは(いつもかどうかはわかりませんが)AWLワードという単語を中心に暗記させられます。AWLワードとはこんな感じです。

NZのビクトリア大学 Averil Coxhead 教授が2000年に発表した570語の単語リスト。
英語圏の大学の教科書に出てくる単語(約350万語)を頻度別に分析した。

引用:大学単語リスト AWL (Academic Word List) 570語 – 英語学習SNS Q-Eng

実際、このリストに出てくるワードはリーディングやライティングの授業でもよく出てくるので、覚えておいて損はないでしょう。少なくともTOEIC英単語よりは役立つでしょう(笑)

参考:大学単語リスト AWL (Academic Word List) 570語 – 英語学習SNS Q-Eng

その他

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それ以外のことをまとめてご紹介します。

16. 成長実感

このブログとは別の、なんでも垂れ流すTumblrに僕がつぶやいてきたことを時系列順に並べると、きっと成長してる感が見えてくると思うので、並べます。

授業初日、先生が話すスピードはかなり速く、ついて行くのがなかなか大変だと感じた。宿題も想像通りハードに課されるし、授業日数に対するテスト数が半端じゃない。

引用:Leo-Vancouver – せっかくなら楽しみたい – 5月14日

「お前は中学生か!」みたいな話かもしれないけれど、わからない授業とわからない宿題にたいして必死でボール打ち返してるうちに、SVOC的な発想でReadingできる癖がついてきた。そしたら少し読むのが楽になってきた。

引用:Leo-Vancouver – Readingのスキルが1アップした – 5月14日

5割くらいしか聞き取れてないと思う、正直。耳から入ってくる5割に、目から入る情報と脳内の処理で保管して、7割くらいの理解で授業が進んでく。一日が終わって復習すると、やっと9割くらいになってるのかなあ。10割とは言えないなあ、悔しいけど。

引用:Leo-Vancouver – 5割くらいしか聞き取れてない – 5月20日

成長止まってんじゃないのと思って焦ってるけど、よく考えたら学校が始まった頃は、毎日帰ってくるとヘトヘトだったし、そういう日が少しずつなくなってる時点で、つまり余裕が少しずつ出来てきてる時点で、少なくとも何らかの成長はしてるんだろうとポジティブな気持ちになった。

引用:Leo-Vancouver – 成長止まってんじゃないの – 6月2日

めっちゃ飲むと頭の中が英語ばかりになる!発見!つまり、徐々にではあるけど英語脳ができてきているということだと思う。嬉しい〜!

引用:Leo-Vancouver – めっちゃ飲むと – 6月14日

まだまだ先は長いですが、少しずつ英語脳にはなってきている気がします。

17. 日本人は全体的に好かれている気がする

なにがというわけじゃないけど、どこにいっても日本人はこの街では割と好かれているような印象です。まだ学校が始まってから7週間ですし、あちこち観光に行けるほどの時間もないので絶対とは言い切れませんが、割と好意的に見てくれる人が多いのではないでしょうか。

特に学校では、最先端のテクノロジーの話になるたびに技術先進国としての日本が引き合いに出され、日本人の自分としては鼻高々な気持ちになりました。

まとめ

長々とした文章になりましたが、以上がBCITのISEPコース(ブリティッシュコロンビア州立工科大学・インターナショナル・スチューデント・エントリー・プログラム)に通いはじめて、ひとつめのターム(7週間)が終わった僕によるISEPレビューです。

何度も書いている通り、まだたった7週間(1ターム)の通学なので、これが全てとは言えませんが、これからISEPコースへの留学をしようと考えている日本人の参考になれば幸いです。