ディスカッションや個人ブレストが上手くいかない理由のひとつに、すぐにネガティブな意見を出して空気を悪くする人問題(あるいはすぐにネガティブな意見を出してしまう自分問題)があります。せっかくのいいアイデアをネガティブな意見で潰してしまい、かつそのネガティブ意見が上司からのものだったりすると、それ以降全体の空気が重くなって気軽にアイデアを出しづらくなってしまいます。

ただし、ポジティブな意見ばかりでいいかというとそうではなく、時にはネガティブで悲観的な意見も会議の過程に必要だという所が悩ましいところです。

今回、本記事でまとめるのは、僕が留学先のイングリッシュコースで学んだ6 Thinking Hats(6色の帽子 / 以降”6TH”)というディスカッションの方法です。もともと1985年にエドワード・デ・ボーノという人が提唱したメソッドですが、ネット上にこのメソッドを日本語でまとめた記事が少なかったので、記事化することにしました。

なお、日本語の本も出ていますのでリンクを掲載しておきますが、僕は読んでいません・・・

6 Thinking Hats ってなに?

6TH00

6THは、ディスカッションや個人ブレストにおける様々なタイプの発言(思考)を青、白、赤、緑、黄、黒の合計6色の帽子に分類することで、ディスカッション(個人ブレスト)をより生産的で集中できるものにするための考え方です。それぞれの帽子の意味は次の通り。

  • 青:司会進行や議長のための帽子
  • 白:客観的な情報を出すための帽子(客観的情報の提示に徹する)
  • 赤:感情的・直感的・主観的な意見を出すための帽子(「好き!」「嫌い!」など)
  • 緑:アイデアを出すための帽子
  • 黄:現状の議題に対して、ポジティブ(肯定的)な意見を出すための帽子
  • 黒:現状の議題に対して、ネガティブ(悲観的)な意見を出すための帽子

それぞれの帽子をディスカッション参加者全員で一緒に被り(青以外)、思考を意識的に切り替えることで、一度にいろんな種類の発言が飛び交わないようにするというのが、この6THのミソです。

ここまでの6THに関する基本的な話は、いくつかのブログやウェブメディアにて紹介されているのを見かけたのですが、実際にディスカッション進行方法の例について日本語で記載された文章がみつからなかったので、次にまとめました。

6 Thinking Hats のディスカッション進行例

なお、留学先の授業で聞いたことと、その後ネットで色々調べた感じでは、あくまでこの思考法のミソは帽子を被りながら思考をリセットしていくという部分なので、青がディスカッションを進行すること以外は帽子の順番に決まったものはないみたいなのですが(何色から始めて何色に向かってもOK)、授業中の練習では被る帽子の順番も習いましたので、イチ参考例としてご覧いただければと思います。

6TH02

Blue Hat – 青

6THでは、まずはじめにブルーハットを被るところから始めます。ブルーハットのみ、被る人がひとりと決まっていて、基本的にはその会の議長がブルーハットの役を務めます。

ブルーハットの第一声はこんな感じ。「さて、今日の議題は〜〜です」日本語にするとなにひとつ難しいことはないですね。要するに最初のテーマに関する告知をすれば良いのです。これに加え、ディスカッションが始まったらタイムキーピングや各参加者へのフリなどもブルーハットの仕事になります。

例:それでは今日は、A社新規ウェブ制作案件について企画の方向性を決めたいと思います

White Hat – 白

次に被るのがホワイトハット。ホワイトハットでは客観的事実やデータのみを話します。ブルーハットと違い、ここからは参加者全員が白い帽子を被り、客観的事実とデータのみを発言するように心がけます。

例1:A社はこのサイトを通して、お客さんからの問い合わせを増やすことを目的としています
例2:A社の現状ウェブサイトは、訪問者の90%が1ページ目のみの閲覧で離脱しています

Red Hat – 赤

今度はレッドハットを被ります。レッドハットでは、参加者がその問題に関して主観的、直感的、感情的に思うことを話します。主観的でいいので、必然的に「私はこう思う」というような表現になります。

例1:私は、そもそもこのトップページのデザインはカッコよくないと思う!
例2:あんまり信頼できないっていうか、胡散臭いっていうか・・・

Green Hat – 緑

次はアイデア出しのグリーンハットです。これまでに出してきた客観的な情報(ホワイトハット)と主観的な意見(レッドハット)を元に、どのようにしたら今回のお題を解決することができるのかアイデアを出し合います。当然、全員がグリーンハットを被っている状態なので、感情的な発言やネガティブな発言は禁止、ポジティブな発言もひとまず禁止です。

例:『リアルで完結するウェブサイト』をテーマに、トップページからお問い合わせまでのストーリーに一貫性を持たせるというのはどうでしょうか。トップページは、シンプルで少々時間が経っても胡散臭く感じないデザインを意識しましょう。かつ全ての流入ページから3ページ以内に問い合わせページにたどり着けるようにしましょう

Yellow Hat – 黄

次に、イエローハットを被ります。イエローハットでは、今出したアイデアの利点だけを挙げていきます。「このアイデアがいい理由としては〜〜が挙げられます」「そのアイデアの利点を加えるとすると、〜〜みたいなことも挙げられるのではないでしょうか。」といった感じです。

例1:各ページからCVページへの誘導を徹底することで、離脱率の低下とコンバージョン率の増加が見込めそうですね
例2:トップページがシンプルになれば、胡散臭さを解消できそうだな

Black Hat – 黒

そして黒い帽子を被ります。ブラックハットですべきは、アイデアに対するデメリットを出すことです。「このアイデア、〜〜って所が心配だなあ」「このアイデア、こんなメリットがあるけど、〜〜なデメリットもあるね」みたいな感じ。

例:そのアイデアとってもいいけど、CVページにたどり着いた後のことが考えられていないんじゃないかな。面白いだけで結局CVしなかったら意味がないよね

Green Hat – 緑(2回目)

先ほどのアイデアに対するメリットとデメリットが出た所で、再度デメリットを解消するようなアイデアを挙げるのが2回目のグリーンハットです。そして、これ以降グリーンハット〜ブラックハットを繰り返し、最終的にアイデアをひとつにまとめていきます。

例:CV率の改善には、B社のASPを使いましょう

Blue Hat – 青(締め)

どんなディスカッションも、最後はブルーハットで締めます。「本日の結論としては〜〜が最終的なアイデアに採用されました」「今日の会は、これで以上となります」のような言葉でまとめ、終わりです。

まとめ

以上が6THの説明と、その進行手順例になります。改めて、ポイントは次の2つです。

  • 6つの帽子を意識して被り分け、帽子をかぶっている間はその役に徹する
  • 青→白→赤→緑→黄→黒→緑→(繰り返し)→青 の順番

この手の手法が世の中には幾つもあることを知っていますが、正直どれも使いこなせるほど習得していないというのが僕の現状。授業でやりかたを習い、トレーニングも積んだ今、なるべく今後、実践の場に活かしていきたいと思います。