Vancouver UX Awards 2016を現地レポします!!


2016年11月16日に開催された『Vancouver User Experience (UX) Awards 2016』に参加してきました。会場は、昨年『Vancouver Startup Week』でも訪れたインペリアル。正直に言えば、やや治安の悪い場所にある会場ですが、かっこいい内装と程よい大きさもあって、テック系イベントの開催場所として人気があるようです。

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会場に到着してまずびっくりしたのは、人の多さ。歩く隙間を見つけるのにも苦労するほどに人が溢れていました。3年目を迎えるこのイベントが、非常に注目されていることがわかります。

基調講演(Keynote)

Keynoteは、バンクーバーベースのVirtual Reality StudioであるArchiactの、KHARIS O’CONNELLによって行われました。テーマは『UX for the Future: Personas Non-Grata』です。

VRやMRの経験がない私にとって、彼の話で最も面白かったのは、3Dにおけるプロトタイプの話。まだ現実にはない、未来をデザインする方法についての話でした。

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彼は、VRやMRの分野で今働いている人の多くは、ゲームのバックグラウンドから来ている人だと言います。ただ、ゲームの世界で「かっこいい」ことと、現実の世界で「使える」こととの間には、大きな差がありますよね。したがって、VRやMRにおけるUXデザイナーたちはまず、ゲームと現実のすり合わせのために「なんでこれやるんだっけ?」「これどういう意味だっけ?」「これどうやって使うんだっけ?」ということを、エンジニアと話し合わなければならないのだそうです。

スタート地点からして、まず私が経験してきた世界とは少し違いました。

空間におけるプロトタイプ

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そして彼は、この未来の空間をデザインするために行うプロトタイプの難しさについて話しました。

2次元のUX/UIであれば、今世界中に無数のプロトタイピングツールがあり、その中から好きなように選んで利用することができますが、VRやMRにはその選択肢がありません。彼はUnity(ゲーム用の開発エンジン)でのプロトタイプも試したものの、この方法はプロトタイプとして時間がかかりすぎるために諦めたのだそうです。

そこで彼らのチームが行っているのが、演劇スタイルのプロトタイプだと言います。

「君はオブジェクト、そこに立っていて。これから僕がこうやる。これがポインターね。これをクリックしたら、君は私の周りをこうやって動いて」とやる。で何が起こるかというと、「今、君がここにいるよね。それで私が離れる。そうするとあれ、テキストがスケールして小さくなって・・・。見えない!」みたいなことになる。

つまり、2Dのデザインならレゾリューションや画面サイズ、フォントサイズなどを決めてしまうことが出来るけれど、3D空間のデザインではそれが通用しないということが、演劇をすることによってわかる。空間の概念があるから、「この場所に立つと最適なフォントサイズだけど、この場所に立つと何にも読めないじゃん!」なんてことが、このプロトタイプを通じて素早く発見される。

これが、未来をデザインする最も速い方法であると彼は言います。

授賞式

次に、アワードの発表です。

今年のイベントに向けて応募があった数多くのUXに関するプロジェクトを、ジャッジが5つの基準(Joy, Elegance, Clarity, Innovation, Impact)にそって採点し、各カテゴリのファイナリスト3組から1組が最優秀プロジェクトとして表彰されました。

UX by Students

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UX by Studentsカテゴリでアワードを受賞したのは、『IKEA Stay』というプロジェクトでした。IKEA Stayは、Simon Fraser University(SFU)の学生が企画したプロジェクトです。

これは、新しい街に引っ越しをする人が、IKEAの家具を実際に試してみることが出来るというサービスのプランだそうです。かつ、オンラインでのサービス利用体験はAirbnbのようなものなのだそうです。製品の体験者はその後、IKEAのEcommerceサイトへと誘導されるので、体験から購入までのユーザー体験も悪くないことが想像できます。あの、IKEAの巨大な倉庫での、めんどくさい家具探しから解放されることだけでも、劇的なUX改善だと感じました。

UX for Good

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UX for Good (non-profit) カテゴリでアワードを受賞したのは、『The Megaphone App』でした。これは、バンクーバーで発行されている非営利団体による雑誌『Megaphone Magazine』と、カレンダー『Hope in Shadows Calendar』の課題を解決するアプリ。

ストリートで販売されるこれらの製品には「購入したいけれど、現金を持ち合わせていない」というお客さんが多いそうで、そんな時にこのアプリを取り出して情報を入力すると、決済を代行してくれます。

UX for Emerging Experiences

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UX for Emerging Experiencesカテゴリでアワードを受賞したのは、『Port of Vancouver Discovery Centre』でした。これは、The Port of Vancouverの施設にて、プロジェクターやタッチスクリーンを用いて、アニメーションインフォグラフィクスを表示するというプロジェクトです。

UX for Products

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UX for Productsカテゴリでアワードを受賞したのは、『Wiivv Scan and Customize』でした。これは、アプリと3Dプリンタを用いた靴のオーダーメイド・インソールサービスです。ユーザーは、アプリで自分の足の写真を数枚撮影するだけで、自分の足の形に最適化されたインソールを購入できるのだそうです。

UX for Marketing

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UX for Marketingカテゴリでアワードを受賞したのは、『Kit and Ace website concept and design』でした。アパレルブランドKit and Aceの新しいウェブサイトでは、ユーザーにKit and Aceのアイデンティティを理解してもらうために、商品情報だけでなくブランドストーリーを掲載したそうです。

確かに、ブランドを表現するような美しいデザインで表現されたコンテンツには、ファンを惹き付ける魅力がありそうです。

TOP OF TOP

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ユーザーが選ぶ今年のナンバーワンUXには、『IKEA Stay』が選ばれました。

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そして、今回選出された全カテゴリの中のトップ、Best UXには、Wiivvが選ばれました。

まとめ

今回のイベントにて最も勉強になたのは、やはりKeynote。特に日本において、UXリサーチや戦略フェーズでフィジカルなワークショップを何度も行ってきているので、余計に演劇を用いた3次元空間でのプロトタイピングに興味を持ちました。いつかそのようなワークショップに携わり、自分の身体を使ってインターフェイスを表現してみたいです(笑)

Awardについては、私はIKEA Stayのアイデアが素晴らしいと思ったし、私自身も今はBCITの学生なので、SFUの彼らに負けないようにしたいと感じました。